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三上 光徳

士業が生み出す付加価値の拡大を支援するコンサルタント。公認会計士でもある。 ⇒詳しいプロフィールはこちら
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こんにちは、士業価値クリエイターの三上です。

司法書士の今後のマーケティング戦略を考えるとき、「どのような分野に注力すべきか」が極めて重要なテーマです。
司法書士の専門業務は、主に不動産登記、商業登記、会社設立業務、相続・後見・家族信託(民事信託)業務、債務整理などですが、最近では離婚に関与する方も出てきています。

そこで今回は、司法書士の専門分野とそれぞれの分野の将来性について考えてみます。

不動産登記、商業登記

不動産登記や商業登記などの登記申請業務は、司法書士の独占業務です。
そのため、会社設立や相続・後見業務、債務整理などの他士業との競合が発生する分野と比べるとライバルが少ないです。

ここでポイントとなるのが、「差別化」です。
登記申請業務という側面だけをみると、差別化するポイントが無いように思えるかもしれません。
しかし、他の司法書士と比較して優位に立てる軸を洗い出し、それをホームページやSNS、名刺などあらゆる手段を使ってアピールするのです。

逆にいうと、その優位に立てる軸を見つけられなければ、あるいはホームページ等によるアピール戦略を持てていないようであれば、かなり厳しい戦いになることが予想されます。

登記申請業務分野で集客できれば安定的な売上につながりますので、ぜひともしっかりとした戦略立案とその実行をするようにしましょう。

ただし、登記申請業務についてはひとつ頭に入れておくべき事項があります。
それは、今後はインターネットなどを参照して自分で行う人がより増えてくるでしょうし、AI(人工知能)による代替も進んでいく可能性があります。
したがって、この分野だけに依存するような状態は早めに脱却しておきたいところです。

相続・後見・家族信託(民事信託)

相続、遺言や家族信託(民事信託)は、最近司法書士の先生方から人気を集めている業務分野です。

特に家族信託(民事信託)は、一部の司法書士の先生方がいち早く目を付けて、専門的なホームページの構築も進んでいます。
とはいえ、弁護士などの他士業が進出してきていないこともあり、まだまだ競合は少なく、今のうちであれば集客しやすい分野といえるでしょう。

ただし、家族信託(民事信託)に取り組むためには、まずは司法書士自身が家族信託(民事信託)についてしっかりとした知識を持つことが必要です。
家族信託(民事信託)で何ができるのか、どのような効果をもたらすのか、具体的に実務で運用するためにはどうすればよいのかなど、しっかりと勉強しておく必要があります。

今後は他の司法書士や弁護士も参入してくる可能性も高いので、取り組むなら早めの方がよいでしょう。

会社設立業務

会社設立業務は、本来は司法書士と弁護士の独占業務のはずです。
しかしながら、実際には税理士による関与が大きく、行政書士、公認会計士なども関わります。
実際にシェアの高いのは税理士で、税理士は、本人名義で設立登記をしたり司法書士に外注したりするなどして会社設立業務を行っています。

司法書士は、税理士から外注を受けることが多くなる立場にありますが、都合よく使われないようにすることが事務所経営の観点からは重要になります。
独自の集客ルートを持っているなど集客力が高い司法書士や、専門分野に特化している司法書士は強いですし、税理士からも一目置かれます。

司法書士が独立して会社設立業務で成功を収めるためには、マーケティング戦略を明確にもち、税理士に対する優位性を意識的に確保することが必須条件とよってよいでしょう。
もちろん税理士と良い提携関係を結び、win-winの関係性を保つこともまた事務所のマーケティング戦略のひとつといえます。

債務整理

債務整理は、一時期脚光を浴びた司法書士業務の分野です。
ただし、今では過払い金請求が落ち着いたため、大きな利益を出すことが難しくなっています。
また、債務整理はもともと弁護士の取り扱い分野であり、弁護士の方が大きな権限を持つので競合すると弁護士に分があります。

とはいえ、相談のハードルの低さや料金などの点で司法書士がリードしている面もあるので、ホームページやSNS等を効果的に用いた戦略を構築することができれば、まだまだ重客できる可能性はあるといえるでしょう。

離婚

最近では、離婚の相談を受けたり、協議離婚合意書作成などの業務を行ったりする司法書士も増えています。
離婚の際には不動産の財産分与が必要なケースも多いので、目の付け所のひとつと言えるでしょう。

ただし、離婚分野は弁護士や行政書士と競合しますし、司法書士は後発の立場です。
司法書士がこれらの隣接士業の分野に参入し成功するためには、財産分与の不動産登記がスムーズであることを強調して不動産を所有している夫婦や住宅ローン返済中などの夫婦の離婚を狙ったり、商業登記を行えることなどを強調して経営者の離婚案件を狙ったりするとよいかもしれません。

いずれにせよ、司法書士ならではの強みや、その他の強みを洗い出し、離婚というマーケットで優位に立てるようなポジションを確立することがとても大切です。

まとめ

他士業の動向やAI(人工知能)の進化を考えると、何の戦略も持たずに「司法書士のXXです」という看板だけで事務所経営を継続することはかなり困難な時代といえます。
ぜひとも一度、将来を見据えた司法書士事務所の経営戦略をしっかりと考えてみてください。

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